結婚や家族に対する自分の価値観が大きく揺さぶられた一冊です。
そんな伽古屋圭市さんの『猫目荘のまかないごはん 私の選択と肉じゃがコロッケ』の小説レビューをしていきます。
「卒婚小説に興味がある方」「食べ物小説で癒されたい方」に特におすすめです。
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『猫目荘のまかないごはん 私の選択と肉じゃがコロッケ』ってどんな小説?(作品紹介・あらすじ)
作品紹介

- タイトル:『猫目荘のまかないごはん 私の選択と肉じゃがコロッケ』
- 著者:伽古屋圭市
- 出版社:KADOKAWA
- 発売日:2025/9/22
- ジャンル:ヒューマンドラマ、食べ物小説
- ページ数:304ページ(私は毎日数時間読んで3日ほどで読了しました)
あらすじ(ネタバレなし)
夫に卒婚を提案した主人公・利恵は、まかないつきの下宿屋「猫目荘」に入居することにした。
自分の今後の人生、加えて息子の人生の歩み方についても悩む利恵。
そんな中、猫目荘の住人達との生活や会話で少しずつ今後の人生について考えることができるようになる。
猫目荘での美味しそうなまかないや、まかない以外でもたくさんの美味しそうな料理が出てくるのもこの作品の魅力です。
卒婚をテーマに描くヒューマンドラマの感想レビュー
結論から言うと、結婚に対する自分の考え方が大きく変わりました。
今まで私は恋愛のその先に結婚があると思っていました。
しかし、本の読了後には恋愛のその先が必ずしも結婚ではなく、それを選択する自由があるということが新鮮で、私の考えは古かったのだと感じました。
もちろん、自分自身、結婚をしたことに後悔は全くありません。
でも「そういう選択肢もあるのか」と、自分の中に新しい視点が生まれました。
心に残った名言とその理由
《他人のつくった価値観に囚われず、自分の幸せがなんなのかを考えられる人が幸せになれるんだ》
伽古屋圭市『猫目荘のまかないごはん 私の選択と肉じゃがコロッケ』角川文庫,2025,172項
私たち夫婦には子供がいません。
結婚するときから「子供はいてもいなくてもどちらでもいい」と思っていましたが、周囲の妊娠・出産ラッシュや家族からの期待の中で、「子供を作らなければならないのでは」と感じることもありました。
不妊治療を経て「自分は本当に子供を授かりたいのか?」と問い直し、最終的にはやめる選択をしました。
もちろん人によって感じ方はさまざまですが、私にとってはその決断が自分らしさを取り戻すきっかけになりました。
だからこそ、作中の言葉が心に深く響いたのだと思います。
おすすめの読書のおとも
この作品を読むと家庭料理が恋しくなります。
タイトルにも登場する“コロッケ”を思い浮かべながら読むと、作品の世界により浸れます。
読書のおともに、サクッと温かいコロッケをぜひ。
こんな人におすすめの一冊
今回読んだ伽古屋圭市さんの『猫目荘のまかないごはん 私の選択と肉じゃがコロッケ』は以下の方におすすめです。
- 卒婚を考えている人
- 夫婦関係で悩んでいる人
- 自分らしさを考えたい人
- 美味しそうな料理に癒されたい人
この本はシリーズ作品で私は3作目である本作品から読み始めましたが前作を知らなくても楽しめる本でした。
前作を知っているとより作品中に入りこめると思うのでシリーズで一気に読むのも良いかな、と思います。
読み終えたあと、心の中で“自分の幸せ”を静かに見つめ直したくなる――そんな優しい一冊でした。
ぜひ読んでみてください。


