装丁とタイトルに魅了され手に取ったのですが、内容もとても美しいものでした。
この本自体が私にとっては芸術そのものでした。
出来るものなら、お気に入りのビストロでコース料理をいただきながらゆっくり読みたい、と思いました。
そんな冬森灯さんの『すきだらけのビストロ うつくしき一皿』の小説レビューをしていきます。
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『すきだらけのビストロ うつくしき一皿』ってどんな小説?(作品紹介・あらすじ)
作品紹介

- タイトル:『すきだらけのビストロ うつくしき一皿』
- 著者:冬森 灯
- 出版社:ポプラ文庫
- 発売日:2025/7/2
- ジャンル:グルメ小説、ヒューマンドラマ、連作短編集
- ページ数:301ページ(私は毎日少しずつ読んだので読了までに4日かかりました)
あらすじ(ネタバレなし)
登場人物たちがふらりと立ち寄ったのはサーカステントにイルミネーションが灯る幻想的な場所。
そこには移動式ビストロ「つくし」があり、白いクマのように親しみやすいシェフと黒猫を思わせるギャルソンの兄弟が、登場人物たちを温かく迎えてくれます。
鮮やかで丁寧な料理と、芸術の調和、兄弟たちの「翁」探しの旅。
『すきだらけのビストロ うつくしき一皿』感想レビュー
私はこの本を読みながら空腹に耐えることに必死でした。
それくらいお料理の描写が美しく繊細です。
食べることが好きでないとこの描写はかけないと思います。
作中のお料理名がカタカナでどんな料理かピンと来ないものもありましたが、作中でギャルソンが分かりやすく説明してくれるため想像しながら本を読むことが出来ました。
たくさんの芸術が出てくるので飽きずに読むことが出来ますし自分もそこにいるような気持ちになり読書をしながら癒されました。
お料理だけでなく作中に出てきた芸術にも触れてみたいと感じました。
ストーリー展開も違和感なくきれいに結末に至ります。
心に残った名言と教えてくれたこと
《世界は「好き」で広がっていく。
ひとは誰でも心の中に、特別な箱を持っている。
からっぽのその箱に、いくつもの「好き」を溜め込んで、自分の世界をつくることができる。
自分という器に溜まった「好き」は、いつか力になり、自分を内側からかがやかせる光になる。》
冬森灯,『すきだらけのビストロ うつくしき一皿』,2025,ポプラ文庫,297₋298項
私は最近、断捨離をしているのですが断捨離を進める中でどんどん本当に自分が大好きなものだけが手元に残っています。
それを見るとウキウキした気持ちになり初めて手にした時の気持ちが蘇ってきました。
時間が経過するにつれ忘れていた感情でしたが本来の自分が「好き」なものを思い出すことができました。
こうして自分の「好き」を思い出すことができたお陰で「誰かとこの気持ちをし共有したいなぁ」と思い今はブログを書く力をもらっています。
そして好きなものを語るときは何よりも楽しいです。
今の自分に自信がない、自分の「好き」が分からないと感じている方におすすめです。
おすすめの読書のおとも
今回はたくさんのお料理が出てきてこれ!といったおすすめは決め難いのですが
お料理と共に提供されるパンをおともに読書を楽しんでみてはいかがでしょうか?
イメージはハード系のパンですかね…フランスパンがおすすめです。
でも、総菜パンもお料理を食べているような気持ちになって楽しいかもしれません。
他には『ビストロつくし』で食後に出ていたエスプレッソも魅力的でしたのでコーヒーをおともに準備して読書を楽しんでみてくださいね。
ピアノ曲など芸術に触れながら読書も素敵です。
こんな人におすすめの一冊
- 美味しい料理や芸術に癒されたい人
- 心が疲れたとき、優しい物語でリセットしたい人
- 自分の「好き」をもう一度見つめ直したい人
- グルメ×ヒューマンドラマが好きな人
- ほっと一息つきながら本を楽しみたい人
『すきだらけのビストロ うつくしき一皿』を手に取って、あなたの「好き」を思い出したり増やしてみませんか?
本屋さんやオンラインストアで見かけたらぜひ手に取って読んでみてくださいね。


